商品詳細
書は筆と墨と紙の芸術であり、墨跡には深さと速度と力が秘められている。書の美は楷・行・草書体と共に成立し、その背景には書の基本運筆三折法をめぐる石と紙の争闘史が隠されている。筆と紙の接点に生ずる力-筆蝕-こそ書の美の核心であり、文字ではなく言葉を書くところに書の価値はある。
本書は、「書は美術ならず」以来の書論を再検討し、甲骨文から前衛書までを読み解いて、言葉の書体(スタイル)としての書の表現を歴史的、構造的に解き明かす。中公新書1220
目次
序 章 書はどのようなものと考えられて来たか
第1章 書は筆蝕の芸術である-書の美はどのような構造で成立するか
第2章 書は筆・墨・紙の芸術である-書の美の価値はなぜ生じるのか
第3章 書は言葉の芸術である-書は何を表現するのか
第4章 書は現在の芸術でありうるだろうか-書の再生について
著者:石川 九楊(イシカワ キュウヨウ) 発行:中央公論新社 縦書き・ページ数:211 ISBN:9784121012203 [2010年9月10日13版]
☆書道界の泰斗が、習字技法の問題に留まらず、筆蝕による書の美学を追求し、その芸術性について語ります。