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過熱する分断論に惑わされてはいけない。サプライチェーン再設計には冷静な判断が必要だ! 日本の戦略はどうあるべきかを的確に問う
対立する米中。世界1位と2位の経済大国同士の分断が世界に及ぼす影響は大きい。日本を含め、世界のほとんどの国は米中双方と貿易や投資で深く結びついているためです。多くの企業にとって、米中の二者択一の踏み絵を踏まされるのは悪夢ですが、両国のデカップリングの度合いに応じてサプライチェーンの見直しなどを迫られています。技術やサプライチェーンの米中デカップリングは今後の展開次第で地球的な規模でモノ、カネ、ヒトの流通を妨げ、世界の貿易体制やイノベーションの行方を左右する可能性があります。
半面、米中のデカップリングは言葉が独り歩きしているところもあります。米ソの冷戦時代と違って、いまの米中は経済面で相互依存が進んでおり、切り離そうにも簡単に断ち切れない関係が二重、三重にできあがっているからです。新型コロナ禍で中国の「マスク外交」への批判が高まり、医療品や戦略物資の中国依存への警鐘が鳴らされた2020年ですら、中国の対米輸出は前年比7.9%の増加(中国側統計)となったのです。
本書は『技術覇権』(2020年刊)に続くタイムリーな米中関係分析です。米中のデカップリングの実像と背景、今後の展望に関する分析を行い、日本の対応を考えるうえでの材料を提供します。
編著者:宮本 雄二(ミヤモト ユウジ)、伊集院 敦(イジュウイン アツシ)、日本経済研究センター 発行:日経BP 日本経済新聞出版本部 縦書き・ページ数:312 ISBN:9784532358921 [2021年6月7日1版2刷]
☆元・駐中国大使、中国駐在経験のある研究者による米中デカップリングの現実と分析です。実情に即した様々な見解の存在が米中問題の複雑さを浮き彫りにします。起業家・ビジネスパーソンの方に。