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かつて暖房と調理を支えた薪は石炭にその座を奪われ、石炭は石油に、そしていま、石炭・石油は天然ガス、原子力、再生可能エネルギーに取って代わられつつある。
それらの資源を利用する動力源も次々に発明された。蒸気機関、内燃機関、発電機。そして蒸気車、蒸気機関車、自動車、電車。その裏にはそれぞれを生み出し、試行錯誤し、応用し普及させた有名無名の人物の存在があった。
またエネルギー利用の普及は人びとの生活の質を上げ経済を活性化する一方で、新たな災厄や難題をももたらした。エネルギーによる利便とそれが生み出す害との狭間で、人びとは解答を求めて苦闘しつづけてきた。
そしていま、地球規模の気候変動のもと、増加しつづける巨大な人口を支えるエネルギー需要をどうすべきか。かつてない難題への答えは、過去の軌跡を詳細に検証することで見出せるのではないか――。
本書は、現在までの約400年にわたるエネルギー変遷史を「人間」の物語としてまとめあげた、ピュリッツァー賞作家による労作である。
著者:リチャード・ローズ 訳者:秋山 勝(アキヤマ マサル) 発行:草思社 縦書き・ページ数:664 ISBN:9784794224071 [2020年12月16日第3刷]
☆気候変動への懸念を背景にまとめられた人類のエネルギー変遷史。イノベーションの歴史でもあり、随所で成功と失敗を重ねる人間史でもあります。学生・起業家の方に。